大野 綾子 AYAKO OHNO

Artist bio

今朝の味つけ
2026.9.12(土)– 10.17(土)
オープニングレセプション:9.12(土)17:00-19:00
トークショー:10.3(土)16:00-17:30, 大野 綾子 / 田口 かおり(保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

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Family (five)  2026, 大理石, 深岩石 / marble, tuff, h 38 x w 20 x d 25 cm

この度KAYOKOYUKIは、大野綾子の個展「今朝の味つけ」を開催いたします。

大野綾子はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作してきました。植物や昆虫をはじめとした自然の風景、日常の行為や親しい人たちの姿など、身の回りの生活に潜むあらゆる事象を、かたちへと起こしてきました。かたくて重い「石」という素材を用いるにもかかわらず、軽やかでおおらかな表現が達成された石彫は、大野作品の特徴といえ、独自の発展を遂げてきました。

近年大野は、身近なモチーフのなかでも、特に「(自らの)家族」に着目し、制作を続けてきました。家族を「変わらないけど変わっていく、更新されていく関係性」と捉える大野の姿勢は、一方的に完全にはコントロールできないもの(石/家族)と、長い時間をかけ、制作や生活を通じいかに向き合うかという、その制作態度にも通底しています。それは、家族が毎朝変わらずつくるスープの味が、その朝の体調や気候、家族それぞれの具合など、日々のこまかな違いで、少しずつ異なっているように感じられる、ということから着想が得られた展覧会タイトルにも、通じる視点だといえるでしょう。

本展では、家族をモチーフとした首像を中心に、新作をご紹介いたします。首像(頭像)は主に肖像彫刻として、古来より存在する様式ですが、「家族を残す。という感覚よりも、私自身にとって家族とは何なのか?という疑問に向かうため」制作に取り組む大野にとってのそれは、シンボリックな対象を石という耐久性のある素材で残す、という元来の意味合いを持ちません。揺るぎない「何か」をかたちに留め、固定するためでなく、探るように「何か」を問い続けるため、石と対話的に仕事を続ける大野の態度が、こうした首像との向き合い方にも垣間見えます。

また首像をはじめ出品作には、「組み合せ」への関心が伝わってきます。これまでも大野は、石や木、金属といった異素材同士を組み合わせた作品や、自刻像にアヒルを添えるなど、モチーフとモチーフを掛け合わせたような作品を発表してきました。今回はそうした関心が、首像と台座がそれぞれ異なる石でつくられ、組み合された像や、動物と人が掛け合わされた二人像、植物を想起させる有機的なかたちの壁掛け作品に、金属が組み込まれた様子など、素材/モチーフ/技法ともに、掛け合わせ、組み合せる意識に見て取れます。特筆すべきは、本展において「台座」が、首像を自立させるため支える、という本来の役割を果たす一方で、像と地続きの体の役割を果たしているものもあるという、両義的な意味を持ち得る点でしょう。こうした像と台の関係性を巡る試みからも、「組み合せ」に対する大野の姿勢がうかがえます。

KAYOKOYUKIでは継続的に大野の作品を紹介してきましたが、本展は六本木に移転オープンした空間では初めての展示となります。図らずも、作家のできごとや経験に対するフラットなアプローチが推し進められた結果、色を抑え、かたちがより強調された作品が多く出品されます。ギャラリーの新たな空間で、大野のかたちがどう立ち上がるのか。彫刻作品と空間の関係性にも着目いただき、この機会にぜひ、ご高覧ください。

1983年埼玉県生まれ、同県在住。女子美術大学芸術学部立体アート学科卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程修了。

主な展覧会に、個展「今朝の味つけ」KAYOKOYUKI(東京、2026)、個展「越後妻有MonET連続企画展Vol.8 -あなたたちとのむ、かごの中」越後妻有里山現代美術館 MonET(新潟、2025)、「Elsewhen, Elsewhere」Art Intelligence Global(香港、2025)、「KOSHIKI ART 2024」(甑列島、鹿児島、2024)、「共振する風景」駒込倉庫 Komagome SOKO(東京、2023)、「ところざわアートのミライ」西武鉄道 所沢駅(埼玉、2023)、「MEMORIES 01 -selected by Yoshiaki Inoue」 CADAN有楽町(東京、2023)、個展「ショーケースギャラリー 大野綾子展」横浜市民ギャラリーあざみ野(神奈川、2020)、「タイムライン —時間に触れるためのいくつかの方法」京都大学総合博物館(京都、2019)、「所沢ビエンナーレ[引込線]2017」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉、2017)、「Reborn-Art Festival 2017 -Do sculptors Dream of electric car (TOYOTA prius) XYZ collectiveキュレーション」GALVANIZE gallery(宮城、2017)、「leave」秋山画廊(東京、2017)など。「第7回大黒屋現代アート公募展」大賞受賞(2012)、個展「さかなとして浸かる」板室温泉大黒屋 (栃木、2013)を開催。小豆島 千軒海岸(香川)、相模原公園(神奈川)、翠ヶ丘公園・須賀川(福島)などに作品設置。

http://ohnoayako.com/

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