アンダース・ディクソン ANDERS DICKSON

rot in the small season
2026.3.19 (木) - 5.2 (土)
オープニングレセプション:3.19 (木)18:00-19:30

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bloodletting/ cleanse my word, 2026, oil on canvas, 76 x 137 cm

この度KAYOKOYUKIは、六本木のピラミデビルの2Fに移転オープンいたします。ギャラリースペースは、ビューイングルームを通って隣接するYutaka Kikutake Galleryにアクセスすることができます。初日の3/19(木)には、合同のオープニングレセプションがありますので、ぜひご参加ください。

アンダース・ディクソンは、絵画、水彩画、立体、コラージュなど複数のメディアを横断しながら、断片的なイメージや素材を組み合わせることで、現実の輪郭を静かに揺るがす作品を制作してきました。彼の作品に用いられるのは、キャンバスや紙といった伝統的な支持体にとどまらず、布、段ボール、糸、金属片、あるいは日常の中で拾い集められたささやかな断片など、多様な素材です。それらは縫い合わされたり、貼り合わされたり、あるいはそのままの姿で画面や空間の中に留め置かれたり、仮設的に接続されることで、異なる時間や場所、記憶の層がひとつの画面や空間のなかに重ね合わされています。そこでは、いま目の前にあるものと、まだ名づけられていない何か、あるいは見えないまま潜んでいる気配とが、互いに干渉しながら共存しています。

近年ディクソンは、ウィアード・フィクションや哲学、宗教学といった領域への関心を手がかりに、人間中心の現実認識の外側に広がる感覚の可能性を探っています。夢や神話、光や声として現れる不可視の存在、人間以外の知性といった想像力は、私たちが当然のものとして共有している現実の枠組みを密やかに書き換えていきます。信念や常識が知らず知らずのうちに経験の幅を制限し、驚異や極端さを取りこぼしてしまっているとすれば、彼の制作は、その外側にある感覚をもう一度引き寄せようとする試みであるのかもしれません。

本展覧会「rot in the small season」では、絵画作品を中心に、水彩画や立体作品が配置されます。縫い合わされたキャンバスや貼り合わされた紙片、仮設的に組み合わされた素材は、生成と崩壊のあいだにある不安定な状態を保ちながら、イメージが立ち上がろうとする瞬間と、解体されつつある気配を同時に留めています。画面の中に現れる母子像やフクロウといった図像は、宗教的・神話的なイメージを想起させながらも、明確な象徴として固定されることなく、異なる時間や物語のあいだを行き来する伝達者のように現れては消え、画面に微細な揺らぎをもたらします。

「rot(腐敗)」は単なる崩壊や終焉ではなく、分解と生成が同時に進行する過程を示唆しています。「small season」という曖昧な時間のなかで、ディクソンの作品は、美しさと不穏さ、親密さと異質さが交差する地点に私たちを導きます。そこでは意味や解釈に先立って、まだ言葉にならない感覚が立ち上がり、現実と呼ばれるものの外縁をそっと押し広げていきます。そのとき私たちは、自らの知覚の境界がわずかに開かれていくのを感じるでしょう。

Anders Dickson / アンダース・ディクソン
1988年、アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。現在はアメリカ、ニューヨーク在住。2009年にミネソタ大学(ダルース校およびツインシティーズ校)で哲学を学び、2010年にドイツ、フライブルク・アルベルト・ルートヴィヒ大学に留学。その後、2010年から2014までカールスルーエ国立造形美術大学で学位を取得。2014年から2017年までフランクフルトのシュテーデルシューレにてモニカ・ベーアとエイミー・シルマンのもとで学ぶ。2017年から2019年までアムステルダム、De Ateliersにてアーティスト・イン・レジデンスに参加。

主な展示会に、個展「Common sense / infinite dis-ease」Wschod Gallery(ニューヨーク、2024)、「Ghost Image -Krist Gruijthuijsenキュレーション」galerie Judin(ベルリン、2024)、個展「Sgomento Zurigo(with Ken Kagami)」チューリッヒ(2023)、「Soulscapes -Uwe Hennekenキュレーション」Meyer Riegger(ベルリン、2023)、個展「PowerCells」the Commons, Pakt///(アムステルダム、2022)、「Barbe a Papa」CAPC Museum Bordeaux(ボルドー、2022)、「WALK」Schirn Kunsthalle(フランクフルト、2022)、個展「Other Truths from the Party」Wschod Gallery(ワルシャワ、2021)、個展「Mindquake: back from the head」Eliane(ボルドー、2021)、「In their Shoes」KAYOKOYUKI Gallery(東京、2021)、「Dancing with Octopuses」Annet Gelink Gallery(アムステルダム、2021)、個展「A Sudden Wilt(with Clémence de La Tour du Pin)」15 Orient Gallery hosted by Balice Hertling Gallery(パリ、2020)、個展「The Unclean Cult of The Sunflower」Izacaia(ウィーン、2020)、「Jahresgabe Ausstellung」Kunstverein Bonn(ボン、2020)、「Buning Brongers Prize」Arti et Amicitiae(アムステルダム、2020)、個展「Bone Orchard」The Bakery, Annet Gelink Gallery(アムステルダム、2019)、個展「Once A Closely Guarded Secret -Martin Herbertキュレーション」De Ateliers(アムステルダム、2019)、「Royal Painting Prize Exhibition」Royal Palace(アムステルダム、2019)、個展「Waterbound with Smokie Allies」The Oracle(ベルリン、2018)、個展「Studies in Transfiguration and Beyond the threshold and back again: An introduction to the hero’s journey. A venture by Anders Dickson and Uwe Henneken」Galerie Gisela Capitain(ケルン、2018)、「Paranoid House」Vleeshal(ミデルブルフ、2018)、個展「St. Elmo’s Fire」The Beach Office(ベルリン、2017)、「Monday is a day between Sunday and Tuesday」Tanya Leighton Gallery(ベルリン、2017)など。

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