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two peaks
2023.7.8 (土) - 8.6 (日)
オープニングレセプション:7.8 (土) 17:00 - 19:00
この度KAYOKOYUKIでは、今村洋平の3回目となる個展「two peaks」を開催いたします。本展では、今年4月に閉幕したインドのコチビエンナーレ2022に出品された作品、「dots 2020-2021」と「two peaks 2022」が、国内で初めてお披露目されます。
今村洋平は、これまで一貫してシルクスクリーンを使った彫刻的な作品を制作しています。
シルクスクリーンとは、一般的には版画制作などに用いられる技法で、メッシュ状の版の孔からインクを押し出すことでさまざまな絵や模様が印刷することができます。このとき版の孔を通過したインクは、支持体に0.01ミリにも満たないごく僅かの厚みを伴った層を構成します。今村は、シルクスクリーンによるこの極薄のインクの層を数百回、数千回と重ねる行為を集積することで、複雑な幾何学模様や、山脈の形状を作り出していきます。
今村が自ら編み出した制作方法は、複雑な構造を持つ完成した作品にだけでなく、その制作過程にも大きな影響を与えています。版の数や配置を指定する設計図や、インクの種類や色、レイヤー数を記したログには、作家の試行錯誤が表れています。また、作品の完成までに半年から一年以上の期間をかける必要があることもあり、自分の身体に合わせたスムーズな作業のため、シルクスクリーンを置く作業台や作品を出し入れする棚、それらの配置や、作品の支持体などにも細かな工夫がなされています。さらに、版を刷るときのリズムや作業台と棚の間を移動するステップ、版に残ったインクを洗う作業、眼鏡をなおす仕草にいたるまで、制作に伴うあらゆる行為が、あたかもひと繋がりの儀式でもあるかのように寸分の狂いもなく繰り返されています。そこには原初的な手作業による営みに潜む、今村自身の無意識的な感覚や精神が顕現しているように思えるのです。
本展覧会のタイトルにもなっている「two peaks」では、2種類の版を使用するという新しい手法が試みられています。2つの版には、それぞれにほんの少しだけズレた位置に孔が空いており、ひとつの版では黒のみを、もうひとつの版では様々な色のインクを交互に刷っていきます。この手法により積み重ねられたインクの層は、見る方向によって全く違った印象を見るものに与えます。今村の新たな展開を是非ご高覧ください。
1978年福岡県生まれ。東京造形大学研究生修了。神奈川県在住。
「The Kochi-Muziris Biennale 2022」(コチ、インド、2022)、個展「peak 3601」KAYOKOYUKI(東京、2019)、「あいちトリエンナーレ2019 -情の時代」(愛知、2019)、「点と線の宇宙」藤沢市アートスペース(東京、2019)、「CSP2 -手法の触感-」桑沢デザイン研究所(東京、2014)、「泉太郎キュレーション・有袋類」TALION GALLERY(東京、2012)、「camaboco 展」東京造形大学(東京、2010)、「Draw print book」esplanade(シンガポール、2008)、「ZOKEI賞」受賞(2003、2004)など。