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マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。
2019.9.7 (土) - 10.6 (日)
オープニングレセプション:9.7 (土) 18:00 - 20:00
この度KAYOKOYUKI では、9 月7 日(土)より、彫刻家 利部志穂(かがぶ・しほ)の個展「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」を開催いたします。文化庁新進芸術家海外研修制度の助成により、2 年間のイタリア、ミラノ滞在を経て、弊廊では約4 年ぶりの個展となります。どうぞご高覧ください。
利部志穂は、生活の中で不要となったものや壊れて廃棄された拾得物、あるいはホームセンターで購入できる建築資材など、様々なモノを使用して彫刻作品を制作してきました。利部の作品においては、それらの多様なモノが有する日常的な意味や機能は解体され、組み合わされ接合されることによって新たな関係性が形成され、空間の中に置かれていきます。利部は、作品を構成するモノと自分自身は、どちらも同じく地球上の法則に従って存在しているのであり、その意味で、両者はつながっているのだと言います。これは、独立した存在としてモノそれぞれを認識していることを示しています。「人間が定義したルールは疑うけれど、地球的・宇宙的なルールを信じる」と言う利部は、モノに近づき、モノが発する声を聞きながら、その一部となって、自然の摂理とも言える生成や循環を展示空間に構築していくのです。
我々の先祖は、人間には抱えきれないような自然の驚異や説明のできない事象を、神話や民話などの物語によって考え、理解しようと試みてきました。本展覧会のタイトル「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」は、地殻から発生する流動化したマントルの柱が地表に吹き出す火山活動が、日本とハワイに伝わる火山の女神であるイザナミとペレのように、嫉妬や怒りから人々を焼き尽くす女性になぞらえて神話化されていることからつけられています。このタイトルに示されているように、本展覧会では、物理的な自然現象という側面と、人間的な物語性という側面の双方向からアプローチされています。
地球の奥深くに秘められたエネルギー(=マントルプルーム)が地表に噴出することで起こる火山活動。普段は目に見えない巨大なエネルギーは、ある時は地震として、またある時はマグマとして、我々の眼前に立ち現れ、地球そのものを変形させます。意味が解体され、機能を持たなくなったモノを新たに発見し、自然界の法則のもとに関係性を再構築していくという利部の彫刻制作のプロセスは、マントルプルームが、地球の内部で重力に抵抗し、様々な美しい柱を形作りながら噴き出すというプロセスになぞらえることができます。そして両者は、「地球的・宇宙的なルール」のもと、必然なプロセスだと言えるでしょう。利部にとって、彫刻とは、「時空を自由に移動する事が出来るメディア」であると言います。利部の彫刻は、地球の太古から秘められたエネルギーであるマントルプルームが時空を超えて地表に噴出するように、時空を刻みながら形作られていくのです。
利部 志穂(かがぶ・しほ)は、1981年神奈川県生まれ。2017年より文化庁新進芸術家海外研修制度の助成を得て、2年間ミラノを拠点に活動。現在は東京都在住。
「所沢ビエンナーレ “引込線2015”」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉、2015)、「KAKEHASHI Project」Japan Society(ニューヨーク、2014)、「アーティスト・ファイル2013ー現代の作家たち」国立新美術館(東京、2013)、同時期開催「タマがわ、たった火」実家 JIKKA / NADiff window gallery(東京、2014)、「発信 //板橋//2011 けしきをいきる」板橋区立美術館(東京、2011)、「VOCA展2010」上野の森美術館(東京、2010)、「返る 見る 彼は、川を渡り、仕事へ向かう公開制作51」府中市美術館(東京、2010)、「back to the drawing board]”もう一度始めから再構築する”」geh8 Kunstraum und Ateliers e.V.(ドイツ、2010)など。
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