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portrait
2017.9.23 (土・祝) - 10.22 (日)
オープニングレセプション:9.23 (土・祝) 18:00 - 20:00
*初日(12:00-20:00)のみ、隣接する駒込倉庫でも特別展示いたします。
新刊:作品集 "looking at something"
© 2017 Yu Nishimura & KAYOKOYUKI
A5変型, 32ページ
彼女は何を見つめているのでしょうか。彼女はどこにいて、どんな感情を抱いているのでしょうか。
西村有が描くportraitに対峙するとき、鑑賞者は画面には明確に示されていない何かを想像しようとします。透明感のある色彩や輪郭線を重ねることで生み出される、曖昧でありながら率直な純粋さを湛えた画面は、鑑賞者に積極的な解釈を促す豊かな表現を実現しています。
本展覧会のタイトル『portrait』とは、「head of a girl」(2017, oil on canvas, 80.5×65.5cm)のような肖像画のみを示す言葉ではありません。森の中を歩く人物、梢でさえずる鳥や芝生の上に寝そべる犬などの動物、走り去る車、さらにはそれらを取り巻く茂みや草原や浜辺、道路といった風景自体をも含んでいます。「顔をいつもより大きな画面にアップで描いたとき、瞳や髪の毛を描くテンションと、車のタイヤ、生い茂る草木を描くテンションが自分の中で一致しました。」この言葉には、絵画として存在させるために、どんなモチーフに対しても、それに付随して現れてくる肖像的なイメージを捉えようとする西村の態度が現れています。
西村の絵画の特筆すべき点の一つとして、ずらして描かれる人物の輪郭線や色面など、幾重にも重なる層によって成立していることが挙げられます。この残像を思わせる流動的な表現は、画面との対話の中で筆を進め、そのプロセスをそのまま絵画にする西村の制作方法に起因しています。西村は「絵の中心」に気づき、それを拾い上げることができるかどうかが重要なのだと言います。彼に見えている「絵の中心」は、単に視覚的中心のみを意味するのではなく、観念的中心という意味でもあります。その中心は常に変化の中にあり、それを取り巻く世界を描くことで肖像的なイメージを浮かび上がらせるのです。画面の中に自ずと現れる絵の中心が作家の想う世界の中心と交錯したとき、饒舌ではないけれども瑞々しい存在感を内包する豊かな絵画空間が生み出されているのです。
1982年神奈川県生まれ。
「MISAKO & ROSEN キュレーション展 -夏の扉」シェーンキャンベルギャラリー(シカゴ、2017)、「絹谷幸二賞2017」受賞、「FACE 2016 損保ジャパン美術賞 絵画のゆくえ(優秀賞)」損保ジャパン日本興亜美術館(東京、2016)、「現代地方譚4 アーティスト・イン・レジデンス須崎」すさき まちかどギャラリー(高知、2016)、「project N 61」東京オペラシティーアートギャラリー(東京、2015)、「囚われ、脱獄、囚われ、脱獄 -竹崎和征キュレーション」KAYOKOYUKI、駒込倉庫(東京、2016)、「富士吉田芸術倉びらき 2014」大野智史オープンスタジオ(山梨、2014)、「シェル美術賞 2013(保坂健二朗審査員奨励賞)」国立新美術館(東京、2013)、「第6回はるひ絵画トリエンナーレ(奨励賞)」清須市はるひ美術館(愛知、2009)など。
神奈川県在住。