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≠ -not equal
2017.5.21 (日) - 6.18 (日)
オープニングレセプション:5.21 (日) 14:00 - 18:00
あたりまえに通り過ぎてしまうような情景に、少しだけ手を加えることで独特の風景をユーモラスに演出する野沢の作品 は、いつかどこかでみた記録の断片が、長い道のりをへて再び立ちあがり、時の進行を惑わすミニマルな空間を生み出し ています。野沢の作品には、例えば、ふと時計を見たときに 12 時 34 分だったというような、小さな、何でもない驚きが 散りばめられています。そのような驚きの体験は、鑑賞者が次々と自発的に作品の中のルールを発見していく可能性を示 唆しています。その発見はときに作家自身も意図していないものでもあり、作品を介してそれぞれの記憶へと接続してい きます。
本展覧会のタイトル「≠(ノットイコール)」は出展作品の中のひとつでもある「≠ 鳥 3」(2017, gelatin silver print, acrylic mounting, 13×18cm)の図像から連想されているとともに、これまでの野沢の作品全体をも表しているといえます。彼の作品には同じモチーフが繰り返し登場します。フレームであるアクリル板と写真に取り込まれたアクリル板の線、それは同じものであると同時に異なるものでもあり、そのアクリル板をフレームとして認識することは、もはや困難です。 また、「cloth」(2014, video, cloth 10min 25sec, resizable)においても同様に、映像作品に登場するモチーフは同時にその映像が映し出されるスクリーンにもなっているのです。記録された平面と三次元に立ち上がるインスタレーション空間、そして時間といった要素を複雑に絡み合わせることで、作品と空間、そして鑑賞者との境界は曖昧になっていき、私たちをいつもと少しだけ違う世界に誘うのです。
野沢は鑑賞者に対して「行ったり来たりしてほしい」のだと言います。彼の仕掛ける演出は他愛のないものであり、物語やアレゴリーを包摂する類のものではありません。しかし、その遊びに満ちた展示空間に足を踏み入れたとき、見る者の思考は一瞬間ストップさせられ、宙に漂い、さまようこととなります。野沢の仕掛けた場所を介し現実と虚構との間を行き来することで、私たちは自らの日常が更新されていることに気がつくのではないでしょうか。
1983年静岡県生まれ。2014 年IED デザイン大学マドリード校にて MFA(写真)取得。近年は「≠」KAYOKOYUKI(東京、2017)、「L」UTRECHT(東京、2015)、「→■←」Intercambiador ACART(マドリード、スペイン、2014)、「“Triunfo y poesía...” International Exhibition of experimental Video」Galería Santa fe- La Decanatura(コロンビア、2014)、「むすびじゅつ」静岡県立美術館(静岡、2013)など国内外の様々な展覧会に参加するほか、「ワークショップ:一 く w 八 L ニ」静岡県立 美術館(静岡、2015)、「PORTFOLIO DAYS & NIGHT - A Place for Contemporary Photography」Centre national de l’ audiovisuel (CNA)(ルクセンブルグ、 2014)など。静岡県在住。
http://www.yutakanozawa.com/