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2016年4月23日(土) - 5月29日(日)
オープニングレセプション:4月23日(土)18:00-20:00
トークショー:5月13日(金)19:00-[大田黒衣美、O JUN(画家)、能勢陽子(豊田市美術館学芸員)]
休廊日:月、火、祝祭日、5/6、7、8
石膏を水に溶いたものや、ボール紙、チューイングガムやウズラの卵の殻、ビニールシートやトタン板など、大田黒衣 美はこれまで、様々な素材を絵画の道具として扱い、制作してきました。絵画を成立させるための「平面性」を保ったまま、物語に合わせて選択された描画材と支持体は、大田黒の絵画を解釈する上で重要な語り部の役割を果たしています。
大田黒の代表作の一つである「チューイングガム」を使った作品は、板状のガムを幾枚か並べ形を作った後、レリーフさながらカッターで表面を彫刻し、制作されています。完成したばかりの作品からは微かにミントの香りが漂い、大量生産を感じさせるプレス機の跡が生々しく残っているものの、時間の経過とともに薄れ、エッジは丸みを帯びていきます。「食べ物として分類されていながら、飲み込まない」ガムは、災害時などで直接 体を救うものではありませんが、忙しない日常に「間(ま)」もたらす道具の一つとして存在し続けています。モチーフとなっているのは、公園などで人が日光浴をしている様子や、起きているとも寝ているとも言えない、リラックスして本能的な状態にある人々や動物達です。
本展覧会では、前述したチューイングガムの作品群「sun bath」のシリーズを展開させた写真作品を発表します。彫刻を施したガムを、生きている猫の背中に置いて撮影したこの作品は、スタジオに気まぐれに訪れる野良猫の時間に合わせて即興的に作られました。猫の毛皮は、外気に触れて付着したホコリやゴミと、生き物の体内から表出する老廃物とが出会う、「channe(l海峡)」の様な場所である、と大田黒は言います。刻々と姿を変える水面から、さらに奥に見える彼方の島々を眺めるように、制御不可能な時間と対峙し制作を続ける大田黒の最新作を、是非ともご高覧ください。
大田黒 衣美(おおたぐろ・えみ)は、1980年福岡県生まれ。2006年に東京造形大学美術学科絵画科専攻を卒業した後、東京藝術大学大学 院にて 修士課程修了。主な展示に、〈project N 55〉オペラシティ・アートギャラリー(東京 /2014)、〈不知火の水まくら 企画:KAYOKOYUKI〉青山|目黒 (東京 / 2013)、〈TRICK-DIMENSION curation: 大庭大介 〉tolot:heuristic SHINONOME (東京 / 2013)、〈四式 curation: O JUN〉遊工房アートスペース(東京 / 2010)、〈Mr FREEDOM X curation: 岩永忠すけ〉南千住アプ リュス (東京 / 2009)、〈アートアワードトー キョー 2008〉丸の内行幸 地下ギャラリー (東京 / 2008) にてグランプリ受賞、〈WORM HOLE episode3〉magical, ARTROOM (東京 / 2006) など。愛知県在住。