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ユーセン
2022.2.12 (土) - 3.20 (日)
*オープニングレセプションはございません。ご来場の際は、マスク着用・アルコール消毒のご協力をお願い致します。 発熱や咳等の症状のある方、体調のすぐれない方はご遠慮ください。また展示室内の密集を避けるため、入場制限を行う場合がございます。
この度、2月12日よりKAYOKOYUKIでは3回目となる、富田正宣(とみたまさのり)による個展「ユーセン」を開催いたします。
日本酒とつくり・木のガチャポン・夜のジャングル・トランペット・ウスノロのバカ・マックスの背中・エイ・エイの箸置き・花火図解・洞窟の蝙蝠・チョコレート・野良犬・つらら・割れた鏡・100均の柱・歩く姿勢・海鳥・エルマーの猫・ペンギンの目・蓋・入浴剤・花火・焼きとうもろこし・リュックサック・靴・耳掻き・婦人服・エアープランツ・益城の壁・ディスプレイアーム……………………
身の回りの些細なモチーフや風景を収集し記録すること。物語を紡ぐこと。それらを抽出しカンバスに描き留めていくこと。これらの行為すべてが同程度の強度をもって繰り返されます。豊かなマチエールと複雑な色彩が特徴である富田の絵画作品からは、確かに人の姿や手、風景、花、割れた食器まで、さまざまな具体的なイメージが浮かび上がってきます。本展で、絵画と併せて展示されている物語の断片やプラバンの小作品は、画家の思考をめぐるひとつの手がかりとなってくれるでしょう。
しかし、いざ絵画に対峙したとき、私たちはこの「手がかり」が非常に心もとないものでしかなかったことに気付かされます。幾重にも塗り重ねられた油絵具の積層から浮かび上がるイメージは、見つけた瞬間にまとまりを失い存在感を失っていきます。結んでいたはずの像は揺らめき、また別の像がたち現われ、瓦解と融合を繰り返します。ふと気付くと私たちは、目の前に存在している、こびりつき、剥がれ、ねじくれながら凝固した油絵具の強固な物質性の前に圧倒されてしまうのです。
富田は、あらゆるモノに「姿」があると言います。収集されたさまざまなモノの「姿」が画家の知覚を通して表出されるとき、モノに付随していたはずの意味や記号はバラバラに解けていき、絵画自身の「姿」が現出するのです。そしてそれは、富田正宣という画家が認識しているこの世界の「姿」に他なりません。
1989年熊本県生まれ。2013年に東京藝術大学絵画科油画専攻卒業。埼玉県在住。
主な展覧会に、「LA CONSTITUANTE」Parliament(パリ、2021)、「Emerging Japanese Painters」 SHOP Taka Ishii Gallery(香港、2021)、個展「なぞるノロマ」KAYOKOYUKI(東京、2018)、「Studio Exhibition」大野智史スタジオ(山梨、2018)、Hikarie Contemporary Art Eye vol.9 小山登美夫監修「through the glasses」渋谷ヒカリエ(東京、2018)、「Inner Flash」Space Wunderkammer(東京、2014)、「SLASH/ square」gallery 5(東京、2014)、「富田正宣/中園晃二展」ターナーギャラリー(東京、2012)、個展「ムトヅ2」ターナーギャラリー(東京、2012)など。