アドリアナ・ミノリーティ / イエン・ホ / 大田黒 衣美
Science Window

2018.5.11 (金) - 6.17 (日)
オープニングレセプション:5.11 (金) 18:00 - 20:00

Science Window

アドリアナ・ミノリーティ AD MINOLITI Queer Deco 2018, inkjet print on canvas, 140 x 100 cm

KAYOKOYUKIでは、アドリアナ・ミノリーティ、イエン・ホ、大田黒衣美によるグループショウ”Science Window”を開催いたします。

 Scienceという単語は、自然科学、技術、知識など、様々な意味を内包しています。日本語では一般に「科学」と訳されますが、Scienceの語源がラテン語の「知る」であることからわかるように、本来は知識そのものを指すものでした。古代においては科学と哲学の区別はなく、人間は世界の起源、宇宙の真理を知ることを希求しました。人類が世界で起こる様々な現象について「なぜ?」と疑問を持った瞬間にScienceは始まりました。そして、科学はその発展に伴い人類の疑問に応じ続けてきました。しかし、科学が発展を極めた現在においても、我々は相変わらず「なぜ?」と感じ続けています。

 我々の先祖は説明のできない事象を神話や民話などの物語によって納得しようとしてきました。古代ギリシアにおいて神話から独立した哲学/科学は、長い時を経て分離していき、17世紀以降、著しい発展をとげた科学によって我々は様々な事象をより正確に理解することが可能になりました。その結果、我々の生きる世界は果たして明快になったといえるのでしょうか?科学的理解に伴い物語を失った世界はカオスの中へと逆戻りし、より一層複雑なものへと変貌していったのかもしれません。

 アドリアナ・ミノリーティ、イエン・ホ、大田黒衣美という3人のアーティストは、生まれた国も育った文化も、思考する言語も異なりますが、彼女たちはそれぞれ、自分自身について、自分と世界との関係について「なぜ?」と問いかけ続けます。アドリアナ・ミノリーティは幾何学的表現を媒体として、ジェンダーに関する固定観念を暴露することを目指し、何がノーマルなのか?といった基準や規範に対して疑問を投じています。イエン・ホ、大田黒衣美は、拾った石やカーペットなどの布、ガムといった、その場所にのみ存在するモノや身近にあるモノを素材として選択し、その作品を通して、自分と世界との関係を探求し物語を紡ぎ出していきます。

 本展覧会のタイトル”Science Window”は「理科の窓」という日本の俗語から引用したものです。この言葉は、男性のズボンのファスナーが開いていることを暗示するための「社会の窓」に対し、女性に使われたものです。(あまり流行りませんでしたが…。) 我々は、ズボンやスカートのファスナーをしっかりと閉めておくことで、社会に対して私的な領域を隠して生活しています。しかし、偶然にもその窓が開いたままになっているとき、あるいは故意に窓を開けたままにしておくとき、思考や感情、欲望といった私的な働きは、社会に対して暴露され、公開されてしまうのです。本展覧会において、アドリアナ・ミノリーティ、イエン・ホ、大田黒衣美の3人の女性アーティストは、「窓」を開けたままにしておくことを約束しています。彼女たちの私的な領域が社会の現実的な層に重なることによって、この展覧会が実現し、我々にとって刺激的なものとなっているのです。

アドリアナ・ミノリーティ は、1980年アルゼンチンのブエノスアイレス生まれ、在住。
「Play Pen 3.0」あいちトリエンナーレ (愛知 / 2016)、「Case Study Cat Houses」Galería Agustina Ferreyra and Beta Local (プエルト・リコ / 2016)、「第10回メルコスールビエンナーレ」(ブラジル / 2015)、「CSH_Utopia」Galería Agustina Ferreyra (プエルト・リコ / 2015)、「Playtime」Edel Assanti (ロンドン/ 2016) など。彼女はアルゼンチンの文化省、ブエノスアイレスのメトロポリタン芸術基金、メキシコのFONCA Conacultaからの助成金を受けており、the Central Bank of the Republic of Argentina (2015) の絵画賞、Ruth Benzacar Gallery (2004) のCV0賞、Arcos Dorados Latin American Competition (2013) の買い上げ賞など数々の賞を受賞。
また、2009年よりthe Artistic Investigation Center of Argentinaのエージェントを務めており、その年にアルゼンチンのペインターのフェミニスト集団である「PintorAs」というグループも設立。
http://www.minoliti.com.ar/

イエン・ホは、1981年アメリカのミルウォーキー生まれ。ニューヨーク在住。
個展「Cucumber Skin Jacket」Appendix Gallery (コロンバス、アメリカ / 2018)、「Plain Sight -curated by Tom McGlynn and Sorry Archive」ウェスタンミシガン大学、リッチモンド芸術センター (2016)、「Formulations -curated by Owen Houhoulis」Sculpture Space NYC (2016)、「And the Villagers Never Liked You Anyway -curated by Vanessa Thill」Knockdown Center (ニューヨーク、アメリカ / 2014)、「This Dust」GSL Projekt (ベルリン、ドイツ / 2014)、「I second that emotion -curated by Jo-ey Tang」TAON (パリ、フランス / 2012)、個展「Such Stuff」Tiger Strikes Asteroid New York (2013) など。
イエンは、ニューヨーク大学のTisch School of the Artsのインターナショナル・トレーニング・プログラムとロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを卒業。2015年に、the TSA artist collectiveの元メンバーとして、Shama Khannaと共同で「An Argument for Difference」展を、Andrew Prayznerと「World is New」展のキュレーションを行う。また2016年にはバルセロナのCan Serrat Residencyに参加するためのwriting scholarshipを受賞。RhizomeやArtforumなどでライターとしても活躍している。
http://taiyinho.com

大田黒 衣美は、1980年福岡県生まれ。愛知県在住。
2019年3月より、文化庁新進芸術家海外研修制度を受けベルリンに滞在予定。
「ALLOTMENT トラベルアワード2016」にて グランプリ受賞。「spot」KAYOKOYUKI (東京 / 2017)、「THE ECHO」高崎シティギャラリー (群馬 / 2016)、「project N 55」オペラシティ・アートギャラリー (東京 /2014)、「TRICK-DIMENSION curation: 大庭大介」tolot:heuristic SHINONOME (東京 / 2013)、「四式 curation: O JUN」遊工房アートスペース (東京 / 2010)、「Mr FREEDOM X curation: 岩永忠すけ」南千住アプ リュス (東京 / 2009)、「アートアワードトー キョー 2008」丸の内行幸 地下ギャラリー (東京 / 2008) にてグランプリ受賞、「WORM HOLE episode3」magical, ARTROOM (東京 / 2006) など。

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