利部 志穂 SHIHO KAGABU

Artist bio

“サンライズサーファー”
2015年12月19日(土) - 2016年1月24日(日)
オープニングレセプション:12月19日(土)18:00-20:00

SHIHO KAGABU

利部 志穂 SHIHO KAGABU サンライズサーファー 2015 photo by Hayato Wakabayashi © Shiho Kagabu

 道ばたに廃棄されたり、時間の経過によって姿を変えたもの、道具としての機能を失ったものなど、生活していく中で不要となったものなどを使い、彫刻作品を制作しています。インスタレーション空間の中においては、そのものがどのような道のりをたどって現在の場所に行き着いたのかという記憶も含められ、自らの身体とそれらの存在とがまるで同等であるかのようにそれぞれ一部となり、自然の摂理とも言える生成や循環が、彫刻というシステムを通して表現されています。

 タイトルの「サンライズサーファー」とは、ブルーアワーと呼ばれる日の出前の時間帯において、すべてのものが青い光の中で影や色を薄め、等価に見えている状態のもと、海で迫ってくる波の流れを読み、待ち、不規則な形状や速さのあるものに体を合わせていく行為と、利部の制作スタイルを重ね合わせてつけられています。人間がこれまで繰り返してきたトライ・アンド・エラーにより獲得された身体性や実感は、現代社会を生きる私たちの、調和と均衡を図る道しるべとなり得るのではないでしょうか。

 利部 志穂(かがぶ・しほ)は、1981年神奈川県生まれ。文化女子大学立体造形コースを卒業後、多摩美術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。近年は「所沢ビエンナーレ “引込線2015”」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉、2015)、「KAKEHASHI Project」Japan Society(ニューヨーク、2014)、「アーティスト・ファイル2013ー現代の作家たち」国立新美術館(東京、2013)、同時期開催「タマがわ、たった火」実家 JIKKA / NADiff window gallery(東京、2014)、「発信 //板橋//2011 けしきをいきる」板橋区立美術館(東京、2011)、「VOCA展2010」上野の森美術館(東京、2010)、「返る 見る 彼は、川を渡り、仕事へ向かう公開制作51」府中市美術館(東京、2010)、「back to the drawing board]”もう一度始めから再構築する”」geh8 Kunstraum und Ateliers e.V.(ドイツ、2010)など、国内外の展覧会やプロジェクトに参加。東京都在住。http://www.kagabu.com/

逃げ道、目印、道しるべ

小さな寝息を横に、
70km / hで走る。
赤いはんてんと、
黒いボーダーラインが
代わる代わる流れていく。
このまま、加速し続けたらどうだろうか。

長い距離を歩いて、
行き止まりがつくられて。
叫び声が聞こえる。

見えない色に、聞こえない音。
ここから先へ、こちらですよ。
私が道しるべを、逃げ道をつくります。
大丈夫ですよ。ここは安全ですからね。

仕組まれた破壊。逃走。
たのしい、つみき。
崩す、倒れる、組み立てる、崩す。
忘れる。
発見する。くみたてる。起こす。
壊れる。直す。運ぶ。
忘れる。
立てる。確認する。

縫ったり、空けたり、倒したり、
立てる。
穴があく、
赤色が散らばる。
青くなる。
戻る。

起き上がる。穴があく。
ふさぐ。
立てる。
崩される。
立てる。組み立てる。
忘れる。

檸檬色の、ドリンク
ストローで口につけて、吸い上げる。
柑橘の香り。
七色のシロップ。

私が道しるべになります。
ここを通過して下さい。

流れても、崩れても。
何度も、何度でも。

サンライズサーファー より

2015.12.19
利部 志穂

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